本研究の資料提供の受付は終了いたしました
大腸がんとは、水分の吸収をつかさどる大腸にできるがんのことです。大腸は、消化管の中で肛門に一番近い臓器で、お腹を“の”の字に取り囲むような筒状の形をしています。
国内における大腸がんの罹患率および死亡率は、高齢化や食事の欧米化などにより増加傾向にあります。大腸がんは早期に発見すれば、内視鏡的切除や外科療法により完治することが可能です。また、少し進んでも手術可能な時期であれば、肝臓や肺へ転移(これを遠隔転移と呼びます)しても、外科療法により完治が望めます。しかし、発見が遅れると切除困難な転移がおこり、手術に加え放射線療法や化学療法(抗がん剤治療)が行われることになります。
KRASという遺伝子の傷(変異)の有無で、ある種の抗がん剤の治療効果が期待できる人と、治療効果が期待するほどでない人がいることがわかってきています。KRAS遺伝子に変異のある大腸がんでは、ある種の抗がん剤を投与し細胞増殖のスイッチをオフにしても、KRAS蛋白は常に活性型のままのため、細胞増殖を指示する信号を止めることができません。したがって、KRAS遺伝子に変異のある大腸がん患者さんに対してはこのような抗がん剤で治療しても効果が期待できないということです。
私たちは、以上のようなことから、大腸がんのKRAS遺伝子変異の頻度などを調査し、疫学的な証拠に基づいた情報を提供するためにこの研究を企画しました。
大腸がんの治療を始める前にKRAS遺伝子の状態を確認しておくことは、治療法を決めるうえで重要と考えています。日本人における大腸がんのKRAS遺伝子が異常を起こしている頻度(変異率)についてはいくつかの報告がありますが、いずれも小規模な報告しかありません。今回の研究では、多くの日本人の大腸がん患者さんに参加していただきKRAS遺伝子の変異率について調査いたします。
大腸がん患者さんが過去に受けた手術や内視鏡検査などで得られたがん組織を用いて、KRAS遺伝子に変異があるかどうかを、遺伝子検査することで調べます。したがって新たに手術や生検検査を受ける必要はありません。
この研究では、さらにがん組織の保存状況による検査結果への影響、遺伝子を検査した検査センター、検査方法の違い、についても合わせて調査いたします。
なお、この研究は日本全国の大腸がん治療の専門病院やがん診療連携拠点病院を中心に、資料となる既存検体および付随する臨床情報のご提供をお願いしております。
将来的には、日本においても、このKRAS遺伝子検査が大腸がんの診療に携わる医師や患者さんに広く利用され、より効率的な治療を進められるようになると考えております。
この研究は、「疫学研究に関する倫理指針」を遵守して行います。CSPOR(財団法人パブリックヘルスリサーチセンターがん臨床研究支援事業)の倫理審査委員会において、この研究に参加された方の不利益にならないことや医学の発展に役立つ情報が得られることが確認され、承認を受けています。
この研究は、CSPOR(財団法人パブリックヘルスリサーチセンターがん臨床研究支援事業)が研究事務局を担当しています。研究責任者は、杉原健一(東京医科歯科大学大学院 腫瘍外科学分野)です。
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