乳がんの種類
乳腺に発生するがん。がん細胞の悪性度、発生部位、エストロゲン依存の有無、治療に対する反応など、さまざまな要素により分類される。乳がんには主に以下のようなタイプがある。
●非浸潤性乳管がん
●非浸潤性小葉がん
●浸潤性乳管がん
●浸潤性小葉がん
●髄様がん
●面疱がん
●炎症性乳がん
●パジェット病

臨床病期分類
しこりの大きさ、乳房周辺のリンパ節への転移状況、遠隔転移の有無をもとに、乳がんの進行度を分類すること。しこり(Tumor)、リンパ節(Node)、遠隔転移(Metastasis)の頭文字をとって、TNM分類ともいう。

原発巣
最初にがんのできた場所

石灰化
乳房内にできたカルシウムの沈着物を乳房内石灰化と呼ぶ。マンモグラフィ検査での石灰化の形や分布によって明らかな良性石灰化(血管、脂肪壊死、乳腺症に伴うものなど)と、悪性の鑑別を要する石灰化に分かれる。腫瘤を触れずにマンモグラフィ検査の石灰化のみで発見される早期乳がんが増加している。
カテゴリー分類
病変が悪性である可能性を見極める

カテゴリー1:異常なし(negative)
カテゴリー2:良性(benign)
カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できず(benign but mailgnanvy not ruled out)
カテゴリー4:悪性の疑い(suspicious abnormality)
カテゴリー5:悪性(highly suggestive malignancy)

マンモグラフィガイドライン第2版より抜粋
マンモグラフィー:乳がんの腫瘤像マンモグラフィー:乳がんの石灰化像

再発
治療により一度がん細胞が消失した後、再び出現すること。手術をした場所(局所再発)、その周りのリンパ節(局所リンパ節再発)、乳房から離れたほかの場所(遠隔再発、転移性再発)に再発することがある。温存した乳房に再発したものを、乳房内再発という。

転移
がん細胞がリンパ系、血流によって元の病巣から遠い部位に移ること。転移には以下のようなタイプがある。
●リンパ行性転移 原発巣からもっとも近いリンパ節に至り、リンパの流れにのって転移巣を拡大していくタイプの転移
●血行性転移 がん細胞が血管内に入り、遠く離れた臓器に到着し、そこで増殖するタイプの転移

予後因子
病期がどのような経過をたどるか、治療にどのように反応するか、副作用はどの程度危惧されるかなどを予測するための因子。手術後の治療の必要性や治療方針を組み立てていくうえで重要な指標となる。

リンパ節
リンパ系の一部で、全身に存在する。豆のような形をした器官。体内の組織から老廃物を取り除き、リンパ系を流れる細菌やがん細胞などの異物をろ過する。リンパ腺とも呼ばれる。乳房の近くには、腋窩(わきの下)、鎖骨の上下、胸骨の横にある。リンパ節に転移している場合は、手術で取り除くが、放射線照射により細胞を死滅させることもある。

エストロゲン(卵胞ホルモン)  
主に卵巣、少量は副腎皮質でつくられる女性ホルモン。乳がんの発育や増殖に深く関与している。乳がんには、エストロゲンで発育するもの(ホルモン依存性)と、発育しない性質をもつもの(非ホルモン依存性)がある。ホルモン依存性を調べるために、エストロゲン受容体(ER)の検査を行うが、ERの有無は、治療計画を立てるうえで、重要な予後因子となる。

閉経状況
加齢とともに卵巣の機能が低下して、最終的に月経が完全に終わることを閉経といい、月経がある状態を閉経前、月経が終了した状態を閉経後という。エストロゲンなど女性ホルモンの影響を受ける乳がんの治療においては、考慮すべき予後因子である。

局所療法(局所治療)
手術や放射線治療などのように、がん細胞そのもの、あるいはその周辺に限られた治療のこと。

全身療法(全身的治療)
化学療法や内分泌療法などのように、血液中に薬物を送り込み、体内に広がっているがん細胞、または広がっている可能性のある微細ながん細胞を絶滅させる目的で行われる治療。

遺伝子
染色体の一部で、髪の色や目の色など身体的な特徴や、特定の病気になりやすい体質などの遺伝を司る。女性でBRCA1またはBRCA2という遺伝子をもっている人は、乳がんになりやすい体質を受け継いでいる。

アジュバント療法(術後薬物療法)
乳がん治療の主な治療である手術の後、再発を予防するために行われる補助療法(化学療法、内分泌療法,放射線照射など)のこと。

ネオアジュバント療法(術前補助療法)
術前に、しこりを小さくしたり、全身への転移を抑制したりするために行われる化学療法のこと。

全身病
がんが一定の場所にとどまらず、ほかの部位にひろがった状態のこと。乳がんでは、肺、肝臓、骨などに転移することが多い。

縮小手術
規模を縮小した手術のこと。胸筋合併乳房切除術(ハルステッド法)が主流だった時代には胸筋温存乳房切除術のことを指したが、現在では乳房温存術のことを意味する。

自家骨髄移植
再発乳がん、または進行した乳がんに適応が考慮される治療法。大量の抗がん剤が投与されると、がん細胞が破壊されるのと同時に、患者の骨髄が破壊されてしまうので、事前に採取し保存してあった患者自身の骨髄を体内に戻して、免疫力と骨髄機能の回復を図る。現段階では、乳がんの標準的治療に比較した有効性は証明されていない。高額な費用を要する。


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