Q1 転移しやすい乳がん治療によく効く薬があるそうですが,実際の効果は?

 
A. HER2強陽性の乳がん患者さんに対する治療薬として,高い効果が期待されている薬に「ハーセプチン」があります。
   乳がんの手術後、肺、肝臓、骨などほかの臓器に再発が起こったり、あるいは最初に乳がんが発見されたときにはすでに他の臓器に転移していることがあります。
 こういった転移しやすい乳がんの患者さんのなかには、細胞の増殖の過程で重要な役割を果たす「HER2(ハーツー)受容体」が異常に発現していることがわかっています。HER2(ハーツー)受容体とは、正常な細胞やがん細胞の表面にあって、アンテナのように手を伸ばして体内にある何らかの物質と結合することで、細胞が活発に増殖すると考えられています。つまり、がん細胞の表面にHER2受容体が多数存在すれば、がん細胞はどんどん増殖し、転移が進んでいくと考えられるわけです。 HER2強陽性の乳がん患者さんに対する治療薬として、高い効果が期待されている薬に「ハーセプチン」があります。
 ハーセプチンはHER2受容体が細胞増殖のために栄養となる物質を取り込もうと、そのアンテナのような手をにょろにょろと伸ばしているところに、あたかも手錠をかけてしまうように働きます。HER2受容体が過剰発現している患者さんは全体の20〜30%で認められますが、そのうち20%の患者さんにハーセプチンの効果が期待できると考えられています。
 


参考ー欧米の臨床試験から

■ 効果  
HER2 陽性患者さんを対象にした欧米の臨床試験では、ハーセプチンを単独で使用した場合、15〜24%の奏効率が得られ、効果が継続する期間は約9カ月でした。さらに、従来の化学療法にハーセプチンを併用することで奏効率が上昇し、さらに生存期間の延長が認められました。
■ 副作用  
ハーセプチンが再発性乳がんの治療薬としてとりわけ注目を集めている理由の一つに、副作用が少ないことがあります。ハーセプチンの主な副作用には、悪寒(おかん)と発熱が認められますが、このような副作用も最初に使用したときのみ認められることが多く、2回目以降の投与ではほとんど認められません。化学療法でみられる脱毛や骨髄抑制による白血球減少などの出現は認められません。ただし、化学療法と併用すると、化学療法でみられる副作用が増えてきます。また、アントラサイクリン系の化学療法剤と併用すると、心機能の低下が認められることがあります(同時に併用する場合だけでなく、過去の投与歴にも注意する必要があります。)

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