乳がんは、がんの中ではとても再発しにくく、もともと細胞の性質はおとなしいのですが、比較的早い時期に全身にがん細胞が広がっている場合が多いこともわかっています。
そのような場合、手術や放射線などの局所的治療だけでは十分でないため、残っているがん細胞の発育を抑え、転移による再発を防ぐために、「化学療法」や「内分泌療法(ホルモン療法)」などの補助療法が術後に行われます。


1.術後薬物療法の適応
さまざまな検査結果により、患者さんのもつ 予後(に関係した)因子を確認したうえで、術後の治療計画が立てられます。そのとき重要な指標となる予後因子には、1.腋窩リンパ節への転移状況、2.腫瘍の大きさ、3.エストロゲン受容体(ER)の有無、4.閉経の状況、5.切除した乳がん細胞の核異型度(悪性度)、6.HER2受容体の発現状況などがあります。

治療による効果、副作用や危険性など、治療によって得られる恩恵(ベネフィット)と危険(リスク)を考慮して、医師やナースと話し合いながら治療計画を立てていくことが大切です。

2.内分泌療法(ホルモン療法)による術後薬物療法
内分泌療法の効果は、がん細胞を攻撃する化学療法よりマイルドで、比較的副作用が少ない治療法です。術後長期間(2〜5年間)継続することで再発を予防する効果が期待できます。
内分泌療法に用いられる薬剤には「抗エストロゲン剤(タモキシフェンなど)」「LH-RHアゴニスト製剤」「アロマターゼ阻害剤」などがあります。抗がん剤と併用したり、いくつかの内分泌療法剤を組み合わせて使用されることもあります。
主な内分泌療法剤と副作用⇒

3.化学療法
抗がん剤を用いる化学療法は、腋窩リンパ節転移などがあり、再発する危険性が高いと判断される患者さんにとくに適しています。また、内分泌療法(ホルモン療法)ではあまり効果を期待できないER陰性の人に使用されます。
3〜6ヵ月にわたる、複数の薬を組み合わせて点滴注射する多剤併用療法や、約2年間にわたって経口剤を服用する方法などがあります。
主な抗がん剤と副作用&
日常生活での副作用対策⇒

4.放射線療法

術後の再発・転移を抑えるために、放射線療法が行われます。また、腋窩リンパ節転移が一定の数以上あった方は、リンパ節があった胸壁に放射線照射を追加することがあります。
放射線療法による主な合併症⇒

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