現在、一般的に行われる乳がんの治療には、「手術療法」「放射線療法」「化学療法(抗がん療法)」「内分泌療法(ホルモン療法)」の4つの方法があります。また最近では「抗体療法(分子標的療法)」も注目されています。
症状の進み具合(病期)や、患者さんの年齢や個々の乳がんのもつ性質などに応じて 治療方針を立て,それぞれを組み合わせて治療していきます。

 

1.手術療法(外科療法)
乳房にできたがんを手術により取り除く方法です。手術療法は,手術が可能な場合には治療法の第一に選択されます。 乳がんの手術法には、乳房全体を取り除く「乳房切除術」と、しこりを含む乳房の一部だけを切除する「乳房温存術」の2つに大別することができます。

2.放射線療法
放射線にはがんを死滅させる効果があります。乳房温存術の場合、温存した乳房に放射線照射を追加することにより、乳房内の再発の危険を減らすことが期待できるので術後薬物療法として放射線療法が行われます。脇の下のリンパ節にたくさん転移が認められた場合には、再発・転移を抑えるために、 術後薬物療法として周辺部位に放射線療法を行うことがあります。

3.化学療法(抗がん療法
がん細胞を死滅させる効果を持つ化学療法剤(抗がん剤)を用いた治療法です。
手術のあと、術後薬物療法として、画像では確認できないような体内に残っている(かもしれない)がん細胞を殺し、再発を防ぐために行われます。
そのままの大きさでは温存手術が難しい場合には、まず化学療法を行って腫瘍を小さくしてから手術を行う、術前補助療法(ネオアジュバント療法)として行われることもあります。
一般的には静脈投与であるが、最近強力なフッ化ピリミジン系の経口抗がん剤も利用されるようになっています。
4.内分泌療法(ホルモン療法)
乳がんにはホルモン(エストロゲン)の影響を受けやすいタイプのものと受けにくいタイプのものがあります。影響を受けやすいタイプでは、薬でホルモンを調節することにより、がん細胞の発育や増殖を抑制することが期待できます。エストロゲンに反応しないタイプのものもあり、そのような患者さんには適応されません。ほとんどの場合、 術後薬物療法として行われます。生理がある方とすでに閉経を迎えた方では、薬の内容が変わります。

5.抗体療法(分子標的療法)
これまでの治療では,がん細胞だけでなく正常細胞にも少なからず影響が見られました。この薬(ハーセプチン)は、がん細胞の表面に、HER2(ハーツー)受容体という、細胞の増殖に関与するタンパク質をもった乳がん細胞だけを選択的に標的とします。こうした治療は抗体療法と呼ばれ、最近もっとも注目されている方法のひとつです。
この治療の効果があると期待されるHER2受容体をたくさんもつ患者さんは、乳がん患者さん全体の約30%にあたるとされています。
一方、HER2受容体を多くもつがん細胞は、攻撃的で増殖速度が早く、予後の悪いことがわかっています。
HER2受容体の有無は、手術や生検で採取した病変組織を検査することで確認できます。
現在この薬は、乳がんと診断されたときすでに、他の臓器(肺、肝臓、骨など)に転移があったり、手術後に再発が起こった転移性の乳がん患者さんに対して用いられます。


「乳がんの基礎知識」のトップページへ戻る
Copyright 2006 (C), CSPOR-BC