しこりを発見するなど、「乳がんかもしれない」、「何か今までと違う」と感じたときは、まず病院へ行って、専門的な検査を受け、専門医による診察を受けるようにします。 病院では、良性か悪性か確実な診断をつけるために複数の検査が行われ、疑わしい部分を確認、悪性の場合には病巣の広がりを検査します。主な検査法を以下に示します。


1.視・触診
乳房全体を目で見て、あるいは手で触れて乳房の形、皮膚、乳頭などに異常がないか、またしこりができていないかを確かめます。専門医がしこりの状態を触診することによって、「乳がんかどうか」はある程度わかります。
30歳を過ぎたら、年に1回、専門医による定期的な検診(視・触診)を受けるようにしてください。自分では見つけられないような小さなしこりが発見されることがあります。生理のある方では、乳腺の張れが落ち着く生理後1週間め頃に受診なさることが望ましいです。
乳房視触診
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


2.マンモグラフィ
触診では見つからないような、ごく小さなしこりや、悪性の可能性が高い微細な 石灰化を発見するのに有効な検査です。乳房を圧迫しながら特殊なレントゲン装置で撮影します。


X線による撮影を行うため、放射能による影響がありうるので妊娠している人は受けられません。可能性のある方は、あらかじめ申し出て下さい。
マンモグラフィー撮影
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充
マンモグラフィー像
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


3.超音波検査
超音波を乳房に当てて、その反射波でしこりの存在と内部の様子を確認します。放射線ではないので、被爆の心配なしに、繰り返し検査することができます。しこりの性質(水分か固形腫瘍かの区別、良性のものか悪性のものかなど)もある程度はわかります。マンモグラフィを補完して行われます。
超音波:乳がんの腫瘤像
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


4.細胞診(穿刺吸引細胞診)
視・触診、マンモグラフィ、超音波検査でがんが疑われたり、がんとの区別が必要な場合には、しこりに細い注射針を刺して細胞を吸引して調べる細胞診を行います。直接あるいは超音波をみながら穿刺を行います。
しこりの中に細い針を刺し、陰圧をかけて細胞を吸引します。細胞の特徴から悪性、悪性の疑い、鑑別困難、正常あるいは良性、検体不適正の5段階に分けます。クラス5は、がん細胞に特徴的な”顔つき”を持ち、がんで間違いないという意味です。
「細胞診でクラス5といわれました。もう末期という意味ですか?」
多くの方に聞かれる質問です。そうではありませんので安心してください。細胞診は、がん(悪性細胞)か、がんでない(良性細胞)かを判定するための段階(クラス分類)です。乳がんの進み具合(進行度)や今後の見通し(予後)を表すものではありません。
では、「細胞診で100%診断が付くの?」というと、針先がうまくしこりに当たらず、細胞の取れないことがあります。当たっても細胞がうまく吸引できないこともあります。ちゃんと細胞が取れても顕微鏡で見るための処理がうまくいかなかったりすることもあります。きちんとした標本ができても、がんや良性の細胞の特徴が乏しくて正しく判断できないことなどがあります。ベテランや専門家がやってもうまくいかないこともあります。細胞診には限界があります。診断が付かないときには、改めて細胞診を行うか、次の検査を行います。
エコーガイド下穿刺吸引細胞診
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充
細胞像
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


5.病理組織検査(針生検)
細胞診で十分な診断が得られない時には、細胞診の時よりやや太い針でしこりの一部分を調べる組織診、局所麻酔下にしこりを取り出して調べる摘出生検などを行い診断を確定します。
色鉛筆の芯くらいの太さの針を用いた検査です。細胞ではなく、細胞の塊として組織をとることが出来ます。細胞診よりも情報量が多く、より診断は確実です。麻酔をしてから検査をします。

さらにがんの場合、主に病変の拡がりや転移の有無を調べるためにCTやMRIの検査も追加することがあります。
針生検のメカニズム
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充
病理組織像
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


6.マンモトーム生検
通常の針より更に太い針で検査します。針先の角度を変えることにより、一回の穿刺で何回も組織を吸引して取ることが出来ます。超音波をガイドにして行う場合とマンモグラフィを見ながら行う場合とがあります。小さなしこりの場合、何回かの吸引でしこりを全部取り切ってしまうことも可能です。傷跡はほとんど分からなくなるのがメリットです。2004年4月から保険適用になりました。
これは、技術と特殊な装置を要します。マンモグラフィをガイドに行う場合には、乳腺を挟んだままで三十分以上かかるのが難点かもしれません。いずれも経験の多い施設(医師)の方が安心だと思います。
マンモトーム
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


7.CT検査
身体を輪切りにするようにX線写真撮影をし、コンピュータで処理をして画像に写す検査です。乳房内での病変の拡がり方や他の部位に遠隔転移の有無がないかどうかを調べるために行われます。


8.MRI検査
少し難しい話になりますが、磁場にさらされた荷電粒子に、特定の周波数の電磁波を与えると、荷電粒子は音叉(おんさ)のように共鳴して、自らも電磁波を発生します。この現象を利用して体の内部を画像にしたのが、MRI検査です。CTとは異なり放射線被爆はありません。ガドリニウムという薬を注射して、その染まり具合から良悪性を区別することができます。どのような断層方向も可能であり、また画像処理をすれば三次元撮像も可能です。最近ではMRM(MRマンモグラフィ)と呼ばれることもあります。
MRIによる乳がんの広がり診断
画像提供:ブレストサービス株式会社 代表 宮内 充


9.その他の検査
乳頭から分泌物がある場合には、分泌物に含まれる細胞を調べる細胞診や分泌中のCEA濃度(腫瘍マーカー、マンモテック)の測定を行います。また乳管の中の状態を調べる目的で、乳管の中に造影剤を注入して調べる乳管造影や細い内視鏡で観察する乳管内視鏡などの検査もあります。骨への転移を調べるために放射性同位元素を用いた骨シンチグラフィーが行われます。


これらの検査の結果から

T 「しこりの大きさ」

N 「リンパ節への転移の有無」

M 「ほかの場所への転移の有無」

により、 乳がんの進行度(病期)を分類します(TNM分類)

「乳がんの基礎知識」のトップページへ戻る
Copyright 2006 (C), CSPOR-BC