乳がんの治療法は、30年かけて臨床試験を積み重ねて少しずつ進歩し、いまなおたくさんの患者さんの協力を得ながら、よりよい治療法の開発へ向け努力が重ねられています。

●臨床試験と治療の進歩
 乳がんの治療に抗がん剤が使用されはじめたのは30年ほど前のことです。当時から、乳がんの手術後に抗がん剤による治療をしたほうが再発が少ないという意見がありましたが、きちんとした根拠はありませんでした。そこで、患者さん約400人に協力してもらい、半分の200人には手術だけ、200人は手術の後に抗がん剤を受けてもらって、どちらが再発する人が少ないかを調べました。その結果、手術だけの患者さんにくらべ、抗がん剤治療を受けた患者さんの方が、明らかに再発が少ないことがわかりました。
 このように、治療法を比べてどちらがよいかを決める方法を「比較試験」といいます。また、患者さんに協力していただいて、治療法の有効性を調べることを「臨床試験」といいます。現在、乳がんに有効な薬剤や治療法はたくさんありますが、これらはいずれもこのような臨床試験によって効果が確認されたもので、これはひとえに臨床試験に参加してくださった患者さんのご協力の賜物です。
 乳がんの治療法は、30年かけて臨床試験を積み重ねながら少しずつ進歩してきましたが、現在の治療法が100%完成されたものではありません。私たちは、前の世代からもらった贈り物を将来の世代に渡すように、少しでもよい治療法を開発する役割があります。


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